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僧帽弁置換術後三尖弁閉鎖不全症を来した2症例に対し, 右開胸による三尖弁置換術を行った. 心臓再手術に伴う合併症を回避するため, 一切の剥離操作やテーピング操作を行わない目的にて, 大腿動脈送血と共に, 経右房バルーン付きカニューラによる上大静脈脱血, 経大腿静脈下大静脈脱血及びocclusion balloonによる下大静脈遮断により完全体外循環とし, 軽度低体温, 心室細動下に, 右壁側胸膜, 心膜右房間の剥離をせず, 右房横切開を行い, 生体弁による三尖弁置換術を行った. 術中, 特記すべき合併症無く退院となった. 三尖弁手術あるいは僧帽弁手術の再手術例における剥離操作に伴う合併症を予防できる方法として報告した. 心臓再手術, 特に僧帽弁あるいは三尖弁の弁膜症に関連した再手術では, 右心系拡大, 胸骨癒着を伴い正中切開による再手術は合併症を伴いやすいとされてきた1）～6）. 今回, 僧帽弁置換術後の三尖弁閉鎖不全症例2例に対する三尖弁置換術を行うにあたって, 既に報告例のある右開胸による心臓到達法7）～9）に加えて, 新たに剥離操作を一切行わない術式を採用し, 良好な結果を得たので報告する. |
