アブストラクト(44巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 中縦隔に発生した脂肪腫の1手術例
Subtitle : 症例
Authors : 呑村孝之, 高橋忠照, 加藤良隆, 藤崎成至, 岩本俊之*
Authors(kana) :
Organization : 広島鉄道病院外科, *広島鉄道病院病理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 4
Page : 580-584
Year/Month : 1996 / 4
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 本邦では, 縦隔脂肪腫は比較的まれな疾患である. また, 成人では前縦隔特に横隔膜近傍に好発するとされており, 臨床症状も乏しい症例が多い. われわれは, 67歳男性に生じ, 外科的に摘出し得た中縦隔脂肪腫を経験した. 患者は一過性の上半身の浮腫を主訴として来院し, 静脈造影で上大静脈, 左腕頭静脈, 右肺動脈に圧排像を認めた. MRIの矢状断では大血管との関係を明確にすることができ, 外科的局所解剖の把握に有用であった. このため右開胸で安全にかつ完全な切除が可能であった. 手術所見では腫瘍は大きさ15×12×5cm, 上大静脈には圧迫のみで二次的な変化はなく, 術後の胸部CTで圧迫は解除されていることが確認された. 術後経過は良好で, 術後6ヵ月の現在再発の徴候はない. 本例のように, 中縦隔に発生した縦隔脂肪腫はわれわれが調べ得た範囲では報告はなく, 極めてまれであると思われたので文献的考察を加え報告した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 縦隔腫瘍, 脂肪腫, 上大静脈症候群, 中縦隔
このページの一番上へ