Abstract : |
肺門部肺癌が非担癌葉に浸潤すると一般に肺摘除が選択されるが, この様な症例に対して行った8例の非定型的気管支形成術を報告する. 本術式によって温存された肺実質量は僅かに過ぎないが術後のquality of lifeの維持, 改善に大いに貢献した. 本手術はI:左下葉発生の肺門部上葉浸潤, 下葉+舌区切除, 左主気管支・上区支吻合とII:左上葉発生の肺門部下葉浸潤, 上葉+S6切除, 左主気管支・底区支吻合, 及びIII:右上葉発生の肺門部中葉浸潤, 上葉+中葉切除, 右主気管支・下葉支吻合の3タイプに分けられた. 血管形成術が5例含まれたが, completion pneumonectomyとなった第1例を除き合併症はない. 補助療法後の2例が癌死したが, 扁平上皮癌のN0, 1の6例は術後6~1年の間, 再発なく生存中である. これらの症例に対し術前後の肺機能とトレッドミル運動負荷試験及び肺シンチグラムを行い再建肺の良好な機能を確認した. 結語:肺門部で他葉に浸潤するN0, 1肺癌の外科治療に際しては安易な肺摘除選択を避け, 複雑形成術を用いた肺温存術式成立の可能性を探る事が肝要である. |