Abstract : |
人工弁付き人工血管(composite graft)を用いてBentall法により大動脈基部再建を行った症例において, composite graftに関係した合併症に対する再手術症例を検討した. 1994年12月までの16年間で155例に大動脈基部のcomposite graft再建を行った. 病態はAAE 112例, 大動脈解離34例, 瘤形成を伴わない大動脈炎9例であった. 手術方法はBentall原法36例, Cabrol法8例, interposition法26例, 冠状動脈くりぬき法(Carrel patch法)85例を行った. 全体で13例(8.4%)にcomposite graftに関係した合併症に対する再手術を施行した. 術後早期の4例の人工血管感染に対しては, 3例に再composite graft再建を行ったが手術死亡した. 1例はイソジン(R)洗浄と大網充填術で救命できた. 遠隔期の合併症は縫合不全による仮性瘤形成4例と人工弁不全7例であった. 仮性瘤の4例では, 3例にinterposition法にて再composite graft再建を行ったが, 大動脈炎の1例で再々手術を要した. 1例は再弁置換と同時にリークの直接閉鎖を行った. 人工弁不全7例の人工弁はすべて生体弁であり, 弁機能不全6例, 人工弁感染1例を認めた. 手術は機械弁による再弁置換が可能であった. 遠隔期再手術症例の成績はすべて良好であった. composite graftの感染は予後不良であり, 予防が大切であった. 吻合部の縫合不全は補強縫合などの術式で防止可能であるが, ベーチェット病などの大動脈炎では更に縫合不全対策が必要と思われた. |