Abstract : |
1990年4月から1995年3月末までの過去5年間の当施設における急性心筋梗塞(AMI)514症例中, 緊急冠状動脈造影検査(CAG)を施行したのは343例であり, そのうち急性期に冠状動脈バイパス術(CABG)を施行した53症例について検討した. 入院時にショック状態であった症例は343例中73例で, うちCABG施行28例(38%), 左冠状動脈主幹部(LMT)が梗塞責任血管の症例は11例で, うちCABG施行8例(73%), またLMT病変合併は29例で, うちCABG施行23例(75%), 3枝病変合併は43症例で, うちCABG施行は20例(47%)であった. 手術例53例の平均バイパス数は2.9本, 手術死亡は13例(25%)であった. 急性期手術の適応となった理由とその手術死亡率は, ショック状態20例(死亡率50%), IABP依存状態23例(死亡率13%), 梗塞後早期狭心症8例(死亡0%)などであった. またLMT病変による梗塞8例では手術死亡率63%と高率であった. 術前に早期再疎通が得られた症例ではその手術予後は非再疎通群に比し良好であった. 更に, 術直後の心係数がIABP施行下でも2.0l/min/m2以下の群では9例中8例を失い, これが現行のIABPを主体とする術後管理における救命限界と思われた. |