Authors : |
末田泰二郎, 四方裕夫, 渡橋和政, 森田悟, 三井法真, 岡田健志, 季白雅文, 武田聖, 永田秀之, 松浦雄一郎 |
Abstract : |
僧帽弁膜症に付随した慢性心房細動(以下Af)は左房拡大により左右心房筋の不応期が非連続性となることが原因と考え, 僧帽弁膜症手術時に左房後壁のみを切開, 冷凍凝固する手術を行った. Afを伴う僧帽弁膜症で左房のみの切開, 冷凍凝固を行ったのは最近2年間6カ月間で28例であった. 付随する三尖弁閉鎖不全症(TR)に対して弁輪形成術を行う際は, 通常の房室弁輪に沿った右房切開を行い, その他の右房, 心房中隔に対する切開は加えなかった. 28例の年齢, 基礎疾患, Af歴, TR合併の有無, 左房径, 術中因子と術後Af消失の関連を検討した. 28例のうち3例は術後早期にAfが再発し以後もAfのままであった. 3例ともリウマチ性MSR+TRであった. 他の1例ではAfは治療できたが心房粗動(AF)+房室ブロックとなった. その他の24例(86%)は術後1カ月の退院時にAfは消失した. Af消失例中に洞不全症候群が3例あり, 2例にDDDペースメーカー植え込みを要した. Afの消失した24例とAf又はAFの残存した4例の術前Af歴, 左房径, 手術時年齢に有意差はなかった. しかし三尖弁手術を要したsevereTRの合併は9/24(38%), 4/4(100%)とAf再発群で有意に高かった(p<0.02). 僧帽弁疾患に伴うAfに対しては左房のみの術式は有用と思われた. |