| Authors ： |
古永晃彦, 壺井英敏, 伊東博史, 河村勉, 南佳秀, 郷良秀典, 加藤智栄, 藤村嘉彦, 江里健輔 |
| Abstract ： |
本研究の目的は, 心臓外科領域におけるSystemic Inflammatory Respone Syndrome (SIRS)の発生とその意義を明らかにすることである. 当科にて待機的に行われた成人心臓外科手術18例を対象とした. 術後第1病日より第7病日まで, 心拍数, 呼吸数, 体温, 白血球数が測定され, SIRSの発生が判定された. 同時に, 炎症性サイトカインであるInterleukin-6(IL-6)及びInterleukin-8(IL-8)が, 体外循環終了後, 第1病日, 第3病日, 第6病日に測定された. 結果:SIRSの継続期間は, 術後0日間7例, 術後2日間5例, 術後4日間2例, 術後5日間2例, 術後7日間2例であった. 体外循環時間120分以内の症例ではSIRSは5例中1例, 体外循環時間120分以上の症例では13例中11例と長時間例で有意に発生した(p<0.05). また継続期間は120分以内の症例では0.40±0.89日に対し120分以上の症例では3.46±2.67日と有意に長かった(p<0.005). SIRS例及びnon-SIRS例別にサイトカインを比較するとIL-6(pg/ml)は各々第1病日26.78±2.77, 26.50±2.35, 第3病日28.20±4.43, 26.33±3.26, 第6病日26.27±2.89, 25.33±0.71でSIRS例がnon-SIRS例より高値であったが有意差はなかった. また, IL-8(pg/ml)は各々第1病日10.48±15.40, 2.13±0.86, 第3病日5.90±2.82, 2.38±1.57, 第6病日7.00±1.39, 3.32±2.83でSIRS例が高値であった(各々p<0.1, p<0.01, p<0.02). 体外循環時間とSIRS継続期間には正の有意な相関関係があった(p<0.01). 更に, 体外循環終了時のIL-6, IL-8濃度とSIRS継続期間には正の相関関係があった(各々p<0.02, p<0.05). SIRSの判定は, 体外循環時に抗サイトカイン療法の指標となると考えられた. SIRS症例の高サイトカイン血症の原因として, 体外循環時のサイトカイン濃度が関与していると考えられた. |
