| Abstract ： |
連続する待期的開心術140例を対象に種々の自己血輸血法を施行した. A群：自己血輸血施行せず, 22例, B群：術中回収洗浄式自己血輸血装置（STAT R）使用, 24例, C群：B＋術中希釈式自己血輸血, 25例, D群：C＋術前2週間の単純貯血, 14例, E群：C＋エリスロポエチン（EPO）投与による術前1週間貯血, 55例, の5群に分け, 各群の総同種血輸血量, 同種血輸血回避率を比較検討した. 特にE群ではヘモグロビン10g／dl, 体重40kg以上を対象とし術前1週間1回貯血法を用い従来の報告より適応を広げ且つ貯血期間を短期間としその有効性を検討した. 各群の入院中総同種血輸血量, 同種血輸血回避率はそれぞれA群：2,216±1,888ml, 14.3％, B群：2,297±1,798ml, 4.2％, C群：774±1,043ml, 36％, D群：399±683ml, 64.3％, E群：135±276ml, 76.3％で, 総同種血輸血量は A, B, C群とD群（p＜0.01）, A, B, C群とE群（p＜0.001）, D群とE群（p＜0.05）に有意差を認め, 同種血輸血回避i率は, A, B群とD群（p＜0.01）, A, B群とE群（p＜0.05）, B群とC群（p＜0.05）, C群とE群（p＜0.01）に有意差を認めた. EPOを用いた術前短期（1週間）貯血法の有用性が示されたが, なお23.7％に同種血輸血を必要とした. E群における同種血輸血適応のうち76.9％（10／13例）は貯血前Hb＜12g／dlの貧血に起因する術中術後貧血, 術後多量出血のいずれかであり, この群に対しては貯血期間の延長, 術後ドレーン血輸血, 又は術中アプロチニン投与等の方法により更に同種血輸血を回避できると考えられる. |
