Abstract : |
心機能の回復法として, 部分体外循環下に容量負荷を軽減し単純に心拍動下冠循環を続ける方法と, 常温心停止下に冠状動脈に酸素化血液灌流を行う方法(Resuscitation and salvage of myocardial function;RSMF)の有効性を比較した. 雑種成犬の心臓を37℃の恒温槽の上に摘出し, 手製風船を左室に挿入し, これに生食5mlずつ注入し, 各前負荷における左室拡張終末末期圧(LVEDP), Max left ventricle(LV)develope pressure, +LV dp/dt, -LVdp/dtを測定しコントロール値とした. 30分の常温虚血で急性心不全を作成した後2群に分類し, A群(N=5)は冠灌流を再開し心拍動下に30分間empty beating下に冠循環を行い, B群(N=6)は, 高カリウム(15mEq/L), マグネシウム含酸素化血液にて心停止下で冠灌流(RSMF法)を30分間行った. LV developed pressureはコントロール100に対し心不全で52±15%まで落ち, A群では64±15%までの回復にとどまったが, B群では100±22%まで回復した. LV dp/dtでは, コントロール100に対し, 不全心50±15%, A群63±18%, B群103±15%であった. B群(RSMF法)はA群(部分体外循環empty beating下冠循環法)に比し有意に心機能の改善度が優れていた. 補助循環中に電気的機械的に心停止となるRSMF法は, 心筋エネルギー蓄積効率のよい見直されるべき心機能の回復法である. |