Abstract : |
われわれは同時期に施行したSJM弁使用大動脈弁置換術(AVR)中, 弁サイズ19mm例と23mm例を比較検討した. 対象は19mmSJM弁AVR21例(SJM19A群)で, 年齢は平均51歳, 体表面積平均1.48m2で術後観察期間は最長156カ月で平均44カ月であった. 同時期の23mmSJM弁AVR20例を対照群(SJM23A群)として比較検討した. 術後早期に2例死亡. それ以外は遠隔期で, NYHA分類I度18例, II度1例であった. 術後1年, Lown分類IVaの不整脈の出現を1例に認めた. 心胸郭比は術前平均60%から遠隔期平均54%へ減少し(p<0.002), SJM23A群とに差はなかった. 心エコー上, 左室肥大の軽減は術前と遠隔期の比較では顕著であったが, SJM23A群との間に差はなかった. 遠隔期大動脈左室圧較差は平均32mmHgで, SJM23A群と有意差(p<0.001)があり, 観察期間が長いものほど△Pが大きくなる傾向があった. また, 左室心筋重量減少率は観察期間が長いものほど減少率が小さくなる傾向を示した. 19mmSJM弁AVRの中期遠隔期成績は良好で, 特に問題はないものの, 更に長期遠隔期では圧較差が増大し, 問題が生じてくる可能性が示唆され, 長期にわたる経過観察が必要と考えられた. |