アブストラクト(44巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 外傷性大動脈破裂の診断及び治療
Subtitle :
Authors : 鎌田聡*, 川田忠典, 北中陽介, 菊地慶太, 西村晃一, 遠藤慎一, 小山照幸, 武井裕, 舟木成樹, 山手昇**
Authors(kana) :
Organization : *現 榊原記念病院外科, **聖マリアンナ医科大学第3外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 7
Page : 918-922
Year/Month : 1996 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1980年12月から1995年7月までの間に15例の鈍的外傷による胸部大動脈破裂を経験した. 受傷機転は自殺企図による転落1例以外は交通事故によるものであった. 損傷部位は全例鎖骨下動脈分岐部末梢の胸部下行大動脈であった. 胸部単純X線では15例全例に上縦隔の拡大を認め, 14例(93%)は8.0cm以上であった. 大動脈弓の不鮮明化は全例に認め, 気管の右方偏位は9例(60%)に認めた. 胸部造影CTは13例に施行し, 全例に縦隔血腫を認めた. 動脈損傷の直接所見である仮性動脈瘤形成は6例(46%), intimal flap像は3例(23%), 造影剤の血管外漏出は2例(15%)に認めた. 血管撮影は9例(60%)に施行し, 全例に仮性動脈瘤形成を認めた. 15例中14例(93%)に他臓器の合併損傷を認めた. 4例は来院後に手術待機中あるいは血管撮影中に胸腔内破裂を来し, 緊急開胸を行ったが死亡した. 手術を完了した11例中9例(82%)を救命した. 手術死亡した2例は開胸後動脈剥離中に破 裂し, 術後MOFに陥った1例と, 合併した脳挫傷による脳死1例であった. 初期の4例は単純遮断下に手術を施行したが, 30分の大動脈遮断にもかかわらず術後対麻痺を生じた1例を経験した. 最近の6例には無ヘパリンあるいはアルバトロバン使用下左心バイパス法を補助手段として用いた. アルガトロバン使用下左心バイパスは体外循環中の血栓を予防し, 且つ合併臓器損傷の出血を助長することもなく, 本症の手術補助手段における抗凝固剤として有用であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸部外傷, 外傷性胸部大動脈破裂, 左心バイパス, 造影CT, アルガトロバン
このページの一番上へ