Abstract : |
ω3系多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid:DHA)の免疫抑制効果を, ラット肺移植モデルを用いて検討した. Wister King A(WKAH)をdonorとして, F344をrecipientとして, ラット左胸腔内同所性肺移植を行った. A群は無処置群(n=3), B群はF344→F344の同系移植・非DHA投与群(n=3), C群はWKAH→F344の同種移植・非DHA投与群(n=6), D群はWKAH→F344の同種移植・DHA投与群で, D群-1はDHA0.5g/kgを術後0, 3日に2回投与した群(n=3), D群-2はDHA0.5g/kgを術後隔日(0, 1, 3, 5日目)に4回投与した群(n=3), D群-3はDHA0.5g/kgを術後連日(0, 1, 2, 3日目)に4回投与した群(n=6)とした. DHAは純度98%以上のトリグリセライド型DHAを10%含むエマルジョンとして静脈内投与した. なお, 肺移植後1週間で犠死させ, 組織学的に拒絶反応の程度を検討した. DHAは, 組織学的にはC群と比較してD群-3にて有意に拒絶反応を抑制した. 末梢血ではA, B, C群に比して, D群-1, 3で総白血球数, A, B, C群に比して, D群で多核球数が有意に多かった. bronchoalveolar lavage(BAL)ではB群に比して, C, D群-1で総細胞数が, A, B群と比してC群でリンパ球が, A, B群と比較してD群-1で多核二三が有意に多かった. またD群はC群に比してリンパ球が有意に少なかった. 作用機作は明らかにできなかったが, DHAの肺移植拒絶反応に対する抑制効果が認められた. |