アブストラクト(44巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道憩室を伴った先天性食道気管支痩の1例
Subtitle :
Authors : 藤田繁雄, 城戸哲夫, 田中康博, 井上善文, 高尾哲人
Authors(kana) :
Organization : 大阪府立病院消化器一般外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 7
Page : 950-954
Year/Month : 1996 / 7
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道憩室を伴う先天性食道気管支痩の1例を経験した. 本症は自験例を含め, 本邦報告例29例とまれな疾患である. 症例は59歳, 男性. 2年前より2カ月に1度程度感冒様症状を繰り返していた. それ以前は無症状であった. 胃潰瘍の経過観察のため上部消化管造影X線検査を施行したところ右気管支が造影され, 食道気管支痩を指摘された. 手術は右開胸下に食道憩室移管切除, 右肺S10部分切除術を施行した. 術後病理検査所見にて, 食道上皮から気管支粘膜上皮への移行像を認め, 先天性食道気管支痩と診断された. 本症例のごとく, 先天性疾患にもかかわらず, 成人になって初めて症状を認める症例が少なからず報告されている. 本症例の無症状時の上部消化管造影X線検査では食道憩室と短い痩管は認められたものの, 気管支は造影されておらず, 先天性の痩管が後天性要素に修飾されて気管支と交通し, 症状の発現につながったのではないかと考えられた. 成人の食道気管支痩は, 多くは悪性腫瘍・外傷などに起因する後天性のものがほとんどであり, 先天性食道気管支痩は比較的まれな疾患である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 先天性食道気管支痩, 食道憩室
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