Abstract : |
1994年1月から1995年8月の間に, チアノーゼを有する先天性心疾患50例に対し, 無輸血体外循環を用いて開心術を施行した. 術式は, Rastelli手術14例, Fontan型手術10例, Fallot四徴症(TOF)心内修復術26例である. 1994年1月から8月までの無輸血手術率は, Rastelli 17%(1/6例), Fontan 67%(2/3例), TOF 67%(8/12例)であった. 輸血を必要とした主な要因は術後の出血と人工心肺残留血が高度の溶血の為に使用できないことであり, 1994年9月以降は麻酔導入後の自己血貯血を開始した. 12±2ml/kgの貯血が可能で, 1994年9月から1995年8月までの無輸血手術率は, Rastelli 75%(6/8例), Fontan 86%(6/7例), TOF 93%(13/14例)と向上した. 無輸血体外循環及び自己血貯血に伴う合併症は認められず, 術後の循環及び呼吸動態は概ね安定していた. 以上より, Rastelli手術, Fontan型手術, TOF心内修復術の70~80%以上は無輸血手術が可能であり, 無輸血率の向上には麻酔導入後の自己血貯血が有効な手段であった. |