Abstract : |
東海地区の心臓外科施設における弓部大動脈瘤の外科治療の現状を把握するために, 1994年8月, 東海心臓外科懇話会会員施設34施設に対して, 最近5年間の何らかの脳保護手段を要した弓部大動脈瘤症例につきアンケート調査を行った. 34施設中, 23施設(67.6%)よりアンケート結果を回収し得た. 最近5年間の全手術症例数は333例で, 形態別には真性例が126例(うち破裂緊急例30例, 24%), 解離例が206例(うち急性例140例, 68%)であった. 手術死亡率は真性例では26%(うち破裂緊急例53%, 待機例18%), 解離例では22%(うち急性例27%, 慢性例13%)であった. 術後脳障害発生は全症例中11%に認め, 真性例では順行性10%, 逆行性9%, 解離例では順行性6%, 逆行性21%と解離例において逆行性脳灌流法は順行性に比し, 脳障害発生頻度が高かった(p<0.05). 個々の脳障害発生例については全脳障害例37例中30例(81%)の詳細を検討することができた. 術後脳障害の発生原因については真性例においては順行性, 逆行性とも全身送血に関連する脳塞栓が主な原因を占めており, 弓部分枝送血に起因するものはなかった. 解離例においては逆行性における脳灌流不全が主な原因を占めていた. |