アブストラクト(44巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 80歳以上の高齢者の冠状動脈バイパス術の検討
Subtitle :
Authors : 浦正史, 坂田隆造, 梅林雄介*, 上野哲哉**, 植山浩二, 新垣勝也
Authors(kana) :
Organization : 熊本中央病院心臓血管外科, *南風病院心臓血管外科, **佐賀医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 8
Page : 1124-1129
Year/Month : 1996 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1989年から1994年9月までに当施設で行われた80歳以上の冠状動脈バイパス(CABG)症例28例(同時期に行われた全CABG症例697例の4.1%, 男性18例, 女性10例)の検討を行った(A群:平均年齢82.2±1.6). 対象群として89年~93年12月に行ったCABGの内最も頻度の高い60歳代の症例240例(男164例, 女76例)をB群(平均年齢65.0±2.8)とし2群間の術前, 術中因子, 手術結果について比較した. またA群の予後を診療録あるいは電話による調査によって行った. 術前NYHA分類はA群で有意に重症であった(NYHA平均値3.3:1.9, p<0.01). 病変枝数で差は認めなかったがLMT病変はA群で有意に多かった(54%:19%, p<0.01). 術前IABP使用(29%), 緊急手術(54%)はA群で有意に多かった(p<0.01). 冠状動脈再建数では2群間に差はなかったが(2.93:2.93)動脈グラフト使用頻度はB群のほうが高かった(39%:99%, p<0.01). A群では病院死を認めず, 術後挿管時間が長く創感染が多い傾向があるものの術後合併症に有意な差を認めず良好な結果であった. A群の予後調査では平均追跡期間16.3カ月で肝癌等の非心原死3例を認め, 残り25名は狭心症の症状を認めなかった. また生存例の内, 脳出血等によって再入院した3例を除く22名(78%)が症状もしくは活動性の改善があったと回答した. 80歳以上のCABGは重症例が多いながらも手術成績は良好でまた手術によって大多数にQOLの改善が見られることから, 今後は80歳以上という年齢のみで手術を躊躇するべきではないと思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 高齢者, 80歳以上, 冠状動脈バイパス術, 開心術, 緊急手術
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