アブストラクト(44巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 脳血管病変と開心術中脳障害発生との関わり
Subtitle : 原著
Authors : 上江洲徹*, 坂田隆造, 植山浩二, 梅林雄介, 上野哲哉, 浦正史
Authors(kana) :
Organization : 熊本中央病院心臓血管外科, *琉球大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 9
Page : 1685-1690
Year/Month : 1996 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 頭頸部の血管病変が, 開心術中における脳障害の危険因子となりうるかどうかを明らかにする目的で, 術前に脳血管造影を施行し, 塞栓症を除く術中脳障害と脳血管病変との関連について検討した. 待機的手術例のうち, 脳血管障害の既往例, または70歳以上の症例89例に術前脳血管造影を行い, 75%以上の狭窄や完全閉塞例を有意狭窄群, それ以外を正常群とした. 有意狭窄群は19例(21.1%)で, そのうち内頸動脈閉塞例が6例であった. 術中脳障害は89例中7例(7.9%)に認め, うち有意狭窄例は4例(3例は内頸動脈閉塞例)であった. 脳障害発生に関し, 有意狭窄群は統計学的に有意差は認められなかった(p=0.054)ものの, 正常群に比べ高い傾向にあった(有意狭窄群21.1%, 正常群4.3%). 更に, 有意狭窄群のうち内頸動脈閉塞群6例と正常群70例を比較したところ, 内頸動脈閉塞群は有意に脳障害発生率が高かった(p=0.013). また, 同時期の脳血管造影適応外であった開心術症例479例とをあわせた568例において, 年齢, 脳血管障害の既往, 大動脈遮断時間, 体外循環時間が術中脳障害発生の危険因子になるか否かを検討したところ, 高齢と脳血管障害の既往に関しては, それぞれp=0.044, p<0.001であり危険因子となりうることが判明した. 大動脈遮断時間, 体外循環時間については, 脳障害発生群と非発生群に有意差はなかったが, 高齢者や脳血管障害の既往例においては, 体外循環時間が120分以上になると脳障害発生率が高くなる(p=0.045)という結果が得られた. (日本胸部外科学会雑誌1996;44:1685-1690)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 術中脳障害, 脳血管病変, 低灌流, 側副血行路
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