Abstract : |
1984年1月から1995年11月までの肺癌症例で中葉以外の肺葉気管支を器械縫合した335例を対象とし, 3.5mmと4.8mmステープル使用の術中水封試験不耐及び術後気管支瘻発生例について検討した. 1984年1月から1988年4月までは肺葉気管支縫合で主に3.5mmステープルを使用した(前期). 器械縫合を一時期放棄したのち, 1991年9月以後は肺葉気管支縫合で主に4.8mmステープルを使用した(後期). 前期の水封試験不耐例は3.5mm使用の183例中7例で, 4.8mm使用21例では縫合不良例は無かった. 後期の水封試験不耐例は3.5mm使用37例中1例, 4.8mm使用94例中の1例であった. 気管支瘻は前期の3.5mmステープル使用例で4例発生した. 水封試験不耐例と気管支瘻発生例の断端縫合部所見から3.5mmステープルと4.8mmステープル縫合の以下の特性が明らかになった. 肺葉気管支縫合に用いた場合, 3.5mmステープルは気管支組織を断裂又は挫滅壊死させ, 水封試験耐圧でも術後気管支瘻発生の危険がある. 一方4.8mmステープルは接合がゆるすぎる危険があるが, 水封試験で耐圧ならば, 術後気管支瘻を発生する危険は少ないと結論した. (日本胸部外科学会雑誌1996;44:1717-1720) |