アブストラクト(44巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冠状動脈バイパス術後静脈グラフト病変に対する経皮的血管形成術の有用性と問題点
Subtitle : 原著
Authors : 安田治正, 平石泰三, 小林亨
Authors(kana) :
Organization : 大阪府立成人病センター循環動態診療科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 9
Page : 1729-1734
Year/Month : 1996 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠状動脈バイパス術(CABG)後のバイパスグラフト病変に対する経皮的血管形成術(PTCA)の初期成績を検討し, その有用性を評価した. バイパスグラフトに病変を有する32症例, グラフト46本, 64病変に対しPTCA(方向性冠状動脈粥腫切除術:DCA5病変を含む)を施行した. 標的病変の部位は, 中枢側吻合部(P)9病変, グラフト体部(B)32病変, 末梢側吻合部(D)17病変であった. 完全閉塞(O)病変は6病変であった. 標的病変64病変に対する初期成功率は89%(57/64), 再狭窄率は57%(30/53)であった(追跡率93%, 53/57病変)病変部位別検討では, 初期成功率P病変89%(8/9), B病変94%(30/32), D病変88%(15/17), C病変67%(4/6)であり, 再狭窄率は各々67%(4/6), 50%(14/28), 56%(9/16), 75%(3/4)であった. グラフト年齢別検討では, 初期成功率は1年未満100%(17/17), 1~5年87%(13/15), 5年以上82%(26/32), 再狭窄・閉塞率は各々53%(9/17), 75%(9/12), 50%(12/24)であった. 閉塞グラフト6例中4例に初期成功をえたが, 3例に再閉塞をきたした. 死亡症例, 緊急手術症例はなく, 合併症は, 解離による急性冠閉塞を1例, 心不全を1例, 末梢冠状動脈血栓塞栓症を2例(DCA施行症例)に認めた. SVGに対するPTCAの初期成功率は良好であった. しかしながら, 閉塞グラフトの再開通は比較的困難であり, 高率に再閉塞を来した. DCA施行症例においては末梢冠状動脈血栓塞栓症の合併が懸念された. SVGに対するPTCAは遠隔期再狭窄に問題を残すものの, SVG長期開存を期するに際しては選択する価値のある治療法と思われる. (日本胸部外科学会雑誌1996;44:1729-1734)
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : CABG, PTCA, DCA, 大伏在静脈
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