アブストラクト(44巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 縦隔腫瘍との鑑別に超音波内視鏡が有用であった血栓閉塞型仮性胸部大動脈瘤の1手術例
Subtitle :
Authors : 村木里誌*, 印宮朗*, 馬場雅人, 泉山修, 長谷川正
Authors(kana) :
Organization : 市立函館病院心臓血管外科, *札幌医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 10
Page : 1917-1920
Year/Month : 1996 / 10
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は嗄声を主訴とする65歳男性. 胸部単純X線上, 左上肺野に淡い結節陰影を認め, CT及びMRIで胸部大動脈峡部に内部不均一な腫瘤が存在した. 大動脈造影で明らかな嚢状瘤を認めず, 明確な外傷の既往のないことから胸部大動脈瘤, 及び縦隔腫瘍を疑ったが, 確定診断のため施行した超音波内視鏡において, 大動脈内膜亀裂, 及び, 内, 中膜の欠損像を認めたことから, 仮性胸部大動脈瘤と診断し, 体外循環準備下に, 胸骨正中切開及び左鎖骨上切開を加えて手術を施行した. 手術時所見で径5cmの血栓閉鎖した嚢状の仮性大動脈瘤を確認し, 瘤近傍の動脈壁の硬化が強かったため, 脳合併症の危険性を考慮し, 右房脱血上行大動脈送血下に超低体温(18℃)循環停止とし, 瘤切除パッチ形成術を施行した. 瘤壁は表面不整で硬化性変化が強く, 内腔には液状部分を一部含んだ陳旧性血栓様の組織が存在した. 病理組織学的に外膜のみからなる瘤壁と判明し, 本症例は仮性動脈瘤であった. 大動脈峡部に存在する腫瘤病変において, 超音波内視鏡を用いた診断は縦隔腫瘍と胸部大動脈瘤の鑑別に有用である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 仮性胸部大動脈瘤, 超音波内視鏡, 縦隔腫瘍
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