アブストラクト(44巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 再冠状動脈バイパス術におけるグラフトの選択と旧静脈グラフトの処置に関する検討
Subtitle :
Authors : 尾崎重之, 外山雅章, 大橋壮樹, 河瀬勇, 関口茂明, 堀見洋継
Authors(kana) :
Organization : 亀田総合病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 11
Page : 1969-1975
Year/Month : 1996 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 再冠状動脈バイパス術は年々増加傾向にあり, 当施設でも30例を経験した. 再手術の原因, 旧静脈グラフトの処置, 手術成績及び遠隔成績につき検討を加えた. 再手術の原因はグラフト不全(GF)が18例と最も多く, 冠状動脈病変の進行(NP)1例, GF+NP7例, GF+初回手術の不完全血行再建2例, GF+大動脈弁狭窄症2例であった. 動脈グラフトは1987年から積極的に使用した. 前回の冠状動脈側吻合部が開存し, 吻合部の静脈グラフトに動脈硬化性変化がない場合には, 前回の吻合部の旧グラフトを一部残して新しいバイパスを吻合した. また, 左前下行枝(LAD)完全閉塞例のLADへの旧静脈グラフト狭窄を7例認めた. この7例のうち旧静脈グラフトを切除し, 動脈グラフトにて置換した1例に術後3日目に胸痛を伴う血圧低下を認めた. 緊急グラフト造影を施行したが, グラフトは開存しておりHypoperfusion syndromeが示唆された. それ以後, LAD完全閉塞例の旧静脈グラフト狭窄については動脈グラフトで十分な流量が得られないと判断した場合は切除しなかった. 手術死亡はなく, 遠隔成績は死亡1例(脳梗塞), coronary eventとして再々手術1例, PTCA1例を認めたがevent free rateは, 92.1%と良好であった. 動脈グラフトの積極的な使用により遠隔成績は更に向上すると思われるが, LAD完全閉塞例の旧静脈グラフト狭窄については動脈グラフトで十分な流量が得られないとの報告もあり適切な対処を必要とする.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 再冠状動脈バイパス術, 動脈グラフト, LAD完全閉塞, 旧静脈グラフト狭窄, Hypoper-fusion syndrome
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