| Authors ： |
平井雅也*, 北村昌也, 青見茂之, 八田光弘, 中野秀昭, 大塚吾郎, 八巻文貴, 遠藤真弘, 橋本明政, 小柳仁 |
| Abstract ： |
1971年12月から1974年12月まで行ったDelrin diskのBjork-Shiley弁を用いた人工弁置換術99例（D群）を1975年1月から1981年6月まで行ったSpherical diskのBjork-Shiley弁を用いた248例（S群）と比較検討し, 術後20年の遠隔成績を明らかにした. 全体の98.8％で追跡可能で, 累積観察期間, 平均観察期間は, D群1,302.3患者・年, 13.2年, S群2,967.5患者・年, 12年だった. 術後30日以内の早期死亡は, D群18.2％（18/99）, S群10.5％（26/248）と有意差はなかった. 遠隔死亡は, D群15例, S群58例あり, このうち弁関連死亡は, D群60％（9/15）, S群58.6％（34/58）と有意差はなかった. 実測生存率は, D群術後21年で65.7％, S群術後18年で64.8％と有意差はなかった. 再手術回避率は, D群術後21年で74.3％, S群術後18年で95％とD群で再手術になる率が高かった（p＜0.005）. 人工弁機能不全の回避率は, 術後15年以降, D群ではS群より低下した（p＜0.05）. 血栓塞栓症回避率, 人工弁関連全合併症回避率は両群で有意差はなかった. 摘出した弁の検討では, Delrin diskにはstrutによる条痕が認められ, diskと弁座の間隙は増大していた. これよりdiskの磨耗が人工弁機能不全の原因と考えられた. 今後, 術後20年を越える症例が増えるにつれ, 再手術を念頭に置いた厳重な経過観察が重要である. |
