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待期的冠状動脈バイパス術（CABG）の成績が良好である現在でも, 急性心筋梗塞（AMI）に対するCABGの予後は満足すべきものではない. 緊急CABGの手術成績とそれを左右する因子及び遠隔成績について検討を加えた. 対象は1995年11月までにAMIに対して単独緊急CABGを施行した48例（男性35例, 女性13例）である. 術前因子, AMIの病態, 術中因子, 発症から手術までの時間と手術死亡, 術後成績について検討を加えた. 術中因子としての心筋保護法は間欠的大動脈遮断（I群）, Crystalloid cardioplegia（C群）, Cold Blood cardioplegia（B群）, Warm surgery（W群）に分類した. 手術死亡は48例中10例（20.8％）で, 術前ショック（p＝0.001）, Q波出現の有無（p＝0.01）, SVGのみのバイパス（p＝0.003）で有意差を認めた. 心筋保護法別に手術死亡を見るとI群7例中3例（42.8％）, C群10例中2例（20.0％）, B群13例中4例（23.5％）, W群13例中1例（7.1％）であり, 有意差を認めないがW群が最も良好であった. 平均観察期間は36.4±4.8カ月で, 5年生存率は77.0％であった. また, SVGのみのバイパス症例で生存率（p＝0.0009）及び心事故回避率（p＝0.02）に有意な低下を認めた. 以上の結果からnon-Q-wave梗塞で術前ショックのない症例の緊急CABGは比較的安全に行え, 内胸動脈グラフトの積極的な使用により短期及び長期遠隔成績の改善が期待された. |
