アブストラクト(44巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 自家気管移植における移植片内血行再開の検討―軟骨間組織切開による広範囲移植―
Subtitle :
Authors : 北田正博, 久保良彦
Authors(kana) :
Organization : 旭川医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 11
Page : 2011-2018
Year/Month : 1996 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 雑種成犬を用いた頸部気管の自家移植実験で移植片内血行回復の機序と広範囲移植の可能性を検討した. 実験対象は, 7気管輪移植群のI~III群と14気管輪移植群のIV, V群とした. I群(n=28)では宿主側吻合部の気管固有鞘を温存し, II群(n=14)は宿主側吻合部2気管輪分の気管固有鞘に剥離を加え, III群(n=11)はII群と同様の操作の後, 移植片を大網で被覆した. IV群(n=13)では宿主側気管固有鞘は温存, 移植気管の2カ所の軟骨間組織に切開を入れ大網で被覆した. V群(n=6)はIV群と同様であるが, 移植片の軟骨間組織に切開を加えなかった. 生着率は, I, II, III, IV, V群の順に, 82.1%, 0%, 72.7%, 76.8%, 16.7%であった. 生着群(I, III, IV群)の観察から, 移植後比較的早期に吻合部の粘膜側, 外膜側に新生血管が増生, その後, 既存の移植片内血管に再疎通することが移植片の生着に必要と考えられた. 非生着群(II, V群)の血行回復は遅延し, 移植片は中央部より虚血性の融解壊死に陥った. 大網被覆は吻合部で血行回復を促進させたが, 無傷の移植片中央部ではその関与を認めなかった. 14気管輪移植時, 移植片の2カ所に軟骨間組織切開を加えることにより中央部の血行回復が促進され, 広範囲移植成功の可能性が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 気管移植, 血行再開, 気管固有鞘, 軟骨間組織切開
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