Abstract : |
肺葉切除以上の症例の術前後に運動負荷試験を行い, 肺切除による換気効率の変化(n=40)と術後の運動制限因子(n=11)を検討した. 最大運動では術後の一回換気量(TV), 分時換気量(VE), VO2, VCO2が有意に減少したが, 術後VO2maxと同一の術前VO2での各値を比較するとVE, VCO2ともに増加していた. また術後の最大負荷量と同一の術前負荷ではVE, VCO2に有意差なくVO2が術後で減少した. 累積VE, 累積VO2, 累積VCO2はともに術後に増加した. 観血的方法で検討した11例でも最大運動ではVO2maxが減少し, 心係数(CI), 一回拍出係数(SI), TVも減少していた. しかし全肺血管抵抗(TPVR), 心拍数(HR), 呼吸回数(RR)には有意差はなかった. また術前後のHR, 平均肺動脈圧(mPAP), VO2に有意の相関が得られた(各々R=0.88, 0.78, 0.77). 以上から肺切除術後には運動時の換気効率が低下し, 同一負荷では嫌気性代謝が増加する. また最大運動ではmPAPは保たれ, SVIが減少するが, HRに変化がないためにCO, VO2の減少を来しており, mPAPとHRが術後運動制限因子の1つであると考えた. |