アブストラクト(44巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 右胃大網動脈を使用した冠状動脈バイパス術の中期成績
Subtitle :
Authors : 内田直里, 川上恭司
Authors(kana) :
Organization : 広島総合病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 12
Page : 2119-2122
Year/Month : 1996 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 過去6年2カ月間に当院で, 右胃大網動脈(RGEA)を用いた冠状動脈バイパス術(CABG)を施行した191例(うち緊急手術27例, 平均観察期間:37カ月)の中期成績について検討した. 術後成績として, (1)死亡例及び生存率, (2)術後グラフト造影検査, (3)心事故自由率, (4)術後腹部合併症に関して検討した. 手術死亡は6例(3.1%)で, その内緊急手術が3例あった. 遠隔期死亡は, 11例(5.9%)で, その内心臓死2例, 非心臓死9例であった. 手術死亡や非心臓死を含む累積生存率は1年94.2%, 3年90.0%, 5年88.9%であった. RGEAの術後早期開存率は98.9%(n=178)で, RGEAと自己冠状動脈との血流競合を, 42例24.0%に認めた. 術後中期の開存率は96.4%(n=28)であった. また血流競合は術後早期と比較して, 中期に1例が改善, 5例が悪化, 22例が不変であった. 心事故回避率は, 1年98.2%, 3年94.8%, 5年92.7%であった. 術後早期の腹部合併症を5例(RGEA剥離面からの出血:1例, 胃穿孔:1例, 出血性胃潰瘍:2例, 幽門狭窄:1例)に認め, また術後遠隔期には腹壁瘢痕ヘルニアを2例, 胃癌を5例に認めた. RGEAを使用したCABGは術後早期, 中期とも良好な成績であった. しかしRGEAは血流競合を起こしやすく, また術後の胃癌が問題であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 右胃大網動脈, 遠隔期成績, 生存率, 開存率, 心事故回避率
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