アブストラクト(44巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 小児開心術後肺高血圧クリーゼの治療―一酸化窒素吸入療法の適応と効果に関する考察―
Subtitle :
Authors : 厚美直孝, 五味聖吾*, 金本真也*, 三原和平*, 重田治, 寺田康, 軸屋智昭, 榊原謙, 三井利夫, 二宮浩樹**
Authors(kana) :
Organization : 筑波大学臨床医学系外科, **筑波大学臨床医学系呼吸器内科, *筑波大学附属病院循環器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 12
Page : 2123-2129
Year/Month : 1996 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1990年4月から1996年4月までに行われた小児開心術176例のうち, 根治手術後急性期に肺高血圧クリーゼ(PHC)と診断した7例について治療方法と治療成績を検討した. 年齢は2カ月から2歳, 疾患の内訳は心房中隔欠損症(ASD)+心室中隔欠損症(VSD)+動脈管開存症(PDA)1例, 完全大血管転位症(TGA)1例, 心内膜床欠損症(CAVC)2例, 総動脈幹症(PTA)2例, 総肺静脈還流異常症(TAPVC)1例であった. 治療は鎮静と呼吸管理を基本と考え, 血管拡張薬はプロスタグランディンE1(PG:0.1μg/kg/min)を第一選択とし, 十分な効果が見られない場合アムリノン(AM:10μg/kg/min)を使用した. いずれか一方または併用で制御可能であったものをPGAM群, 制御不可能で1994年以降一酸化窒素(NO)吸入療法を施行したものをNO群とした. PGAM群はASD+VSD+PDA, CAVC, TGAの3例でいずれも救命した. NO群のうち, CAVC, PTAの1例では最高30ppmの投与で循環動態が安定し救命した. PTAの他の1例とTAPVCでは気道出血を合併し, 最高40ppmの吸入を行ったが効果は一時的で, 呼吸不全によりそれぞれ34日目, 8日目に失った. NOはPG, AMで制御できないPHCに対しても効果が見られたが, 気道出血を来した症例では効果は一時的であったため, PHCのリスクが高いと考えられる症例では, 肺胞, 気道の状態を良好に保つと共に, 早期のNO開始が重要と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺高血圧クリーゼ, 小児開心術, 一酸化窒素(NO)吸入療法
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