アブストラクト(44巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 高齢者(70歳)動脈管開存症に対する1手術例
Subtitle :
Authors : 細野光治, 末広茂文, 柴田利彦, 南村弘佳, 佐々木康之, 木下博明
Authors(kana) :
Organization : 大阪市立大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 12
Page : 2200-2204
Year/Month : 1996 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 本邦最高齢と思われる動脈管開存症(PDA)に対し手術を施行した. 症例は70歳, 女性. 高度の心不全のため手術を行った. 下行大動脈に強い石灰化を認め, 動脈管に操作を加えるのは危険であると考えた. また腸骨動脈領域の動脈硬化性病変を合併していたため, 補助手段として大腿動脈送血を必要とするものは採用できないと判断し, 胸骨正中切開による完全体外循環下に経肺動脈的閉鎖を行った. 送血温20℃, 直腸温27℃で大動脈遮断を行い, 心停止下に動脈管の肺動脈開口部を直接閉鎖し, 更に牛心膜パッチで補強した. 動脈管を介する大動脈側からの逆流血遮断のためバルーンカテーテルを用いたが, 血液が漏出するため, 低流量送血に加えて一時的な循環停止を行い視野を確保した. 術後経過は良好であり, 高齢者のPDAに対しても手術手技と補助手段を工夫することにより安全な手術が可能であると考えられた. 高齢者の動脈管開存症(PDA)に対する手術では動脈管自体や周囲の大血管の性状により閉鎖法や補助手段に工夫が必要となる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 動脈管開存症, 高齢者, 経肺動脈的閉鎖, バルーン閉塞
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