アブストラクト(44巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 感染性大動脈炎による弓部大動脈破裂の1手術治験例
Subtitle :
Authors : 須藤義夫, 高原善治
Authors(kana) :
Organization : 船橋市立医療センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 44
Number : 12
Page : 2221-2224
Year/Month : 1996 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は胸背部痛と嗄声を主訴に来院した59歳の男性. 初診時胸部X線写真上異常が認められなかったが, 約3週間後来院時外来の待合室でショック状態となった. 胸部X線写真上縦隔陰影の著しい拡大を認め, CT上弓部大動脈破裂と診断され緊急手術となった. 鎖骨下動脈分岐部直下の大動脈に径約2.5cmの破裂孔を認めたが, 動脈瘤は形成しておらず, 術中に原因を解明できず3分枝つき人工血管で弓部全置換を行った. 摘出した大動脈弓部の病理組織学的検索でグラム陽性球菌のコロニーが認められ, 感染性大動脈炎と診断された. 現在手術後約2年経過しているが感染の再発兆候は見られない. 動脈瘤を伴わない感染性大動脈炎による胸部大動脈破裂はまれな病態であるが, 大動脈破裂の原因の1つとして記憶すべきものと思われる. 胸部動脈の破裂の原因として通常想起される病態は動脈硬化性大動脈瘤, 大動脈解離及び外傷である. 感染性大動脈炎は腹部大動脈に関しては報告例が少なくないが, 胸部大動脈ではわずかである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 感染性大動脈炎, 弓部大動脈破裂
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