アブストラクト(45巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺炎を併発した肺癌に対する緊急手術例の検討
Subtitle :
Authors : 佐藤光春, 高木啓吾*, 出口博之, 川上努, 渡辺真純, 青木輝浩, 妻鳥元太郎, 田中勧, 尾形利郎**
Authors(kana) :
Organization : 防衛医科大学校第2外科, *東邦大学胸部心臓血管外科, **東海大学検診センター
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 1
Page : 12-16
Year/Month : 1997 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 保存的治療では改善せず全身状態の悪化を招くような閉塞性肺炎や腫瘍壊死物による吸引性肺炎を併発した肺癌に対し, 救命を目的として行われた緊急手術10例を検討した. 男性9例, 女性1例で, 年齢は37歳から72歳(平均57歳)であった. 閉塞性肺炎例が3例, 吸引性肺炎例が7例に見られ, 腫瘍の最大径はそれぞれ平均約4.7cmと約7.5cmであった. 組織型では扁平上皮癌6例, 腺癌4例, 術後病期はI期1例, II期1例, IIIA期5例, IIIB期3例であった. 手術は9例に分離肺換気による麻酔管理が行われ, 肺葉切除が8例に, 肺摘除が2例に施行された. 抗生剤投与開始から手術までの期間(平均±標準偏差, 以下同じ)は6.2±3.3日であった. 手術時間は246±36分, 術中出血量は786±758gであった. 根治度では治癒切除が3例, 非治癒切除が7例であった. 術後合併症は肺炎が2例, 皮下膿瘍が2例, 肺摘除を行った1例で不整脈が出現した. 在院死はなく肺炎の2例も保存的に改善し, 全例軽快退院した. 非治癒切除例では5年生存はなく治癒切除例では31カ月また75カ月の長期生存例があった. いずれの症例も全例軽快退院しており, 緊急手術によって肺炎増悪による早期死亡を回避し得たものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺癌, 併発肺炎, 緊急手術
このページの一番上へ