Abstract : |
症例は78歳, 女性. 前壁中隔の急性心筋梗塞として入院中にショック状態となり, oozing typeの心破裂と診断し, 心嚢ドレナージと局所止血剤による圧迫止血術を行った. 術中, 血行動態の改善につれ肺動脈圧が上昇し, 肺動脈で酸素飽和度の上昇を認め, 心エコー上も心室中隔での左右短絡血流を確認し心室中隔穿孔(VSP)合併と診断した. 続けて体外循環, 心停止下に全周結節縫合でVSPパッチ閉鎖術を行った. 術後31日目に遺残短絡のため再手術を行ったが, 組織が一部裂けて縫合糸がゆるみ短絡を生じていたため水平マットレス縫合で閉鎖し, パッチ辺縁を全周連続縫合した. 心破裂とVSPの合併は少なからず存在すると思われるが, 心破裂術中もVSPの合併を念頭におき, 心エコー, Swan-Ganzカテーテルにより十分検索を行うことが重要と考えられた. パッチの縫着は遺残短絡防止という観点から, 梗塞発症後3~4週までは結節縫合の方がよく, 以後は連続縫合のみでも良いのではないかと思われた.また, 再手術時ウマ心膜パッチ左室腔面に血栓が付着していたことから, 本術式では術後長期の抗凝固療法が必要と考えられた. |