Abstract : |
肺切除術後の術側残存肺や健側肺の局所肺機能変化を評価するために, 肺換気・血流SPECTの3次元画像を作製し検討を行った. 肺切除術60例に対し, 術前・術後1カ月に換気(99mTc-フチン酸エアロゾル吸入)・血流(99mTc-MAA静注)SPECTを施行した. SPECTよりVolume-rendering法で閾値を3段階に設定した3次元画像を作製し, 閾値25%で左右肺の機能的3次元容量を求め, 術前後の変化を術前値に対する術後値の比率で評価した. 術式別の比較で術側血流分布変化率は, 右上葉切除0.58±0.22, 右上中葉切除0.32±0.04, 右中葉切除0.86±0.11, 右下葉切除0.55±0.17, 左上葉切除0.24±0.18, 左下葉切除0.46±0.05, 左全剔0であり, 切除肺葉区域数を考慮すると, 右上中葉切除・左上葉切除に低下が著しかった. この要因として, 残存肺の頭側への偏位や過膨張が考えられた. エアロゾル換気分布変化は, ほぼ全例において血流分布よりも著しい低下を示し, また下葉切除群の術側換気残存率が上葉切除群よりも低い傾向を示した. これはエアロゾル検査の特性によるものと考えられた. 今回の肺換気・血流SPECTの3次元画像処理により, 肺切除術前後の局所肺機能変化が立体的にそして定量的に評価でき, 機能温存手術を評価する際に有用な評価法と考えられた. |