アブストラクト(45巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環を使用しない心拍動下冠状動脈バイパス術
Subtitle :
Authors : 高橋賢二, 長尾好治, 小田桐聡, 高橋昌一, 小倉雄太, 鈴木宗平*
Authors(kana) :
Organization : 青森労災病院心臓血管外科, *弘前大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 2
Page : 130-134
Year/Month : 1997 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1995年10月頃ら1996年4月まで人工心肺を使用せず心拍動下にて冠状動脈バイパス手術(CABG)を9症例に行った. 男女比は7:2で, 年齢は31歳から79歳(平均64.7歳)である. 1枝バイパス症例が6例, 2枝バイパス症例が3例で, このうち再手術症例が2例あった. 主な合併疾患として, 週3回の血液透析を要する慢性透析患者が2例, 透析はしていないが腎機能が低下している患者が3例, インスリンを投与されている糖尿病患者が4例, 肺機能の低下している患者が2例, パーキンソン病と胃癌を併発している患者が1例であった. また75歳以上の高齢者が2例あった. 心臓へのアプローチは中間枝に吻合した1例は左開胸で行ったが, その他は胸骨正中切開であった. 冠状動脈との吻合は7-0 polypropylene糸を用いて結節縫合で行った. 使用したグラフトは右内胸動脈(RITA)が4本, 左内胸動脈(LITA)が6本, 胃体網動脈と大伏在静脈がそれぞれ1本で計12本であった. 同時手術として胃癌に対する胃切除術と胆石症に対する胆嚢切除術を各々1例に行った. 術中, 術後に他家血輸血を要したのは透析患者の1例を含む2例(22.2%)であった. 術後管理は全例で容易であった. 術後グラフト造影を行った8例11本のグラフトはすべて開存しており, 狭心症状はすべての症例で消失している. 本法は体外循環の悪影響が考えられるCABG症例に対し安全性, 術後管理の容易さから有用な方法と思われた. 特に透析患者のCABGには積極的にその適応を考慮してよい方法と思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠状動脈バイパス術, 心拍動下, 人工心肺非使用, 血液透析患者
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