アブストラクト(45巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 術前肝性昏睡を呈した収縮性心膜炎に対する1手術例
Subtitle : 症例
Authors : 中村勝利, 大内浩, 福田幾夫, 河野元嗣*
Authors(kana) :
Organization : 筑波メディカルセンター病院心臓血管外科, *筑波メディカルセンター病院救命救急部
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 2
Page : 187-190
Year/Month : 1997 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 収縮性心膜炎による右心不全のため術前肝不全から肝性昏睡を呈した症例を経験した. 症例は39歳, 男性. 下肢浮腫, 黄疸を主訴に来院, 血清総ビリルビン値は15.2mg/dl, 中心静脈圧は28cmH2Oであった. 肝性昏睡のため血漿交換療法を施行したが, 更に右心不全が悪化したために, 体外循環非使用下に胸骨正中切開法で右心系の拡張障害除去に主眼をおいた心膜剥皮術を施行した. 術直後から著明な循環動態の改善を認め, 術後4カ月で血清総ビリルビン値は1.5mg/dlまで改善した. 術前状態の不良な症例には本術式は有用であると考えられた. 収縮性心膜炎は心膜の瘢痕性肥厚, 硬化により心室の拡張障害を来し, 心不全の症状を呈するために外科治療は癒着した心膜を剥離し拡張障害を解除することに主眼がおかれる. 術前右心不全によるうっ血肝から肝性昏睡を呈することはまれである. 最近著者らは右心系の拡張障害を除去するのみで重症肝不全から脱し救命しえた1例を経験したので, 術式の有用性を文献的考察を加えて報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 収縮性心膜炎, 肝性昏睡, 胸骨正中切開法, 心膜剥皮術
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