アブストラクト(45巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 被覆処理人工血管を使用した胸部大動脈置換術後の炎症反応とエンドトキシン値の変動
Subtitle :
Authors : 川嶋隆久, 上沢修, 布施勝生, 三澤吉雄, 加藤盛人, 長谷川伸之, 齊藤力, 小西宏明, 大木伸一, 長谷川嗣夫
Authors(kana) :
Organization : 自治医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 4
Page : 531-535
Year/Month : 1997 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1993年6月から1995年1月の間に施行した胸部大動脈置換手術のうち早期死亡例を除いた15症例に対し, 7例にゼラチン被覆人工血管(Gelseal(R), G0群), 8例にコラーゲン被覆人工血管(Hemashield(R), H0群)を使用し, 術後の炎症反応とエンドトキシン値(Toxicolor(R), Endospecy(R))の変動について検討した. 術後第7病日に37.5℃以上の発熱を認めたのはG0群5例, H0群3例で, 第14病日にも同様の発熱を認めたのはG0群2例, H0群1例であった. 第14病日に発熱のあった3例は感染が原因で, 他5例の原因は, 胸水貯留2例, 心嚢液貯留1例, 不明2例であった. 次に感染が原因の3症例を除外したGelseal(R)使用5例をG群, Hemashield(R)使用7例をH群とし, 以下の比較検討を行った. 術後体温は第3病日においてH群で有意に高かったが, 第7病日には逆にG群で高くなり, 第14病日には両群差なく解熱した. WBCは, G群で低下遅延傾向が認められたが, 第14病日には両群とも正常域に低下した. 一方CRPは, 第3病日以降H群の方が高かったが, 第14病日になっても両群とも正常域まで低下しなかった. エンドトキシン値の検討では, 両群ともToxicolor(R)値のみが術直後より大きく上昇, 術後経過と共に漸減し, 両群間に差はなかった. 一方Endospecy(R)値は両群とも上昇を認めなかった. 以上の結果より, G群, H群間で体温, WBC, CRPの術後変動に微妙な差があり, 炎症反応が強くおこる時期, 程度に差があると推察された. また, Toxicolor(R)反応物質が術後に上昇するが, エンドトキシンそのものではなく, また, エンドトキシンを遷延する発熱の原因とするのは不適当と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : ゼラチン被覆人工血管, コラーゲン被覆人工血管, 炎症反応, エンドトキシン
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