アブストラクト(45巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 急性A型大動脈解離に対する外科治療成績-cerebroplegiaを用いた脳保護法-
Subtitle :
Authors : 廣谷隆, 加戸靖, 城田庄吾, 亀田正, 黛成彦*
Authors(kana) :
Organization : 東京都済生会中央病院循環器センター外科, *東京都済生会中央病院循環器センター臨床工学科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 4
Page : 556-562
Year/Month : 1997 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 急性A型大動脈解離に対する外科治療は, いまだ困難な点が多い. 当施設では, 急性期に速やかに緊急手術を行うこと, 手術は, 弓部大動脈に解離がない場合には上行大動脈のみの, 解離がある場合には, 上行及び弓部大動脈の人工血管置換術を標準術式としてきた. 症例は, 1992年1月当科開設以来1996年6月までに当院に収容された急性A型大動脈解離19例であった. DeBakey分類では, I型15例, II型2例, III型逆行2例であった. 発症から手術までの期間は, 24時間以内が17例を占めた. 手術は, 主としてcerebroplegia投与法を補助とした超低体温循環停止法を用いて行った. 人工血管置換部位は, 上行大動脈のみ6例, 上行及び弓部大動脈13例で, 合併手術は, 冠状動脈バイパス術2例, 大動脈基部置換1例であった. 手術成績は, 病院死亡は5例で, このうち移植片対宿主拒絶反応(GVHD)による死亡1例と, 解離発症時に意識消失のため転倒して受傷した急性硬膜外血腫1例が含まれ, 手術手技に直接関連したと考えられる死亡は3例(15.8%)であった. 残存解離腔の転帰は, 12例で末梢解離腔の閉鎖が認められた. 脳合併症としては, CTスキャン上, 脳梗塞が認められた例が1例あったが, 麻痺などの臨床症状は認められなかった. 急性A型大動脈解離に対して, 急性期に上行, 弓部大動脈人工血管置換術を標準術式として外科治療を行った結果, 病院死亡は26%であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 急性A型大動脈解離, 上行一部大動脈, 人工血管置換術, 超低体温循環停止法, cerebrog legia
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