アブストラクト(45巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部下行大動脈瘤破裂を来した大動脈炎症候群の1治験例
Subtitle :
Authors : 正木久男, 稲田洋, 森田一郎, 福広吉晃, 田淵篤, 藤原巍
Authors(kana) :
Organization : 川崎医科大学胸部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 4
Page : 655-660
Year/Month : 1997 / 4
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 大動脈炎症候群に起因する紡錘状大動脈瘤破裂は極めてまれである. 今回胸部下行大動脈瘤が急速に増大して破裂に到り, 緊急手術を施行し, 良好な経過をたどった症例を経験した. 症例は29歳, 女性. 21歳時に両側の腎動脈狭窄と胸部下行大動脈の軽度の拡張を認め大動脈炎症候群と診断し, 当科外来にてステロイド投与を行い, 経過観察していた. 28歳時には胸部下行大動脈瘤は最大径4.5cm大であった. 炎症反応もほぼ陰性で血圧も安定していたにもかかわらず, 今回胸部大動脈瘤の破裂と診断され, 緊急搬送された. 来院時血圧80mmHgで, 緊急手術を施行した. 補助手段は膜型肺付き遠心ポンプによるF-Fバイパスを用い, 人工血管にて鎖骨下動脈分岐部より4cm末梢から横隔膜直上までの胸部下行大動脈を置換し, 術後経過は良好で術後1カ月目に退院した. 本疾患に対する治療方針は瘤の部位や手術の難易度にもよるが, たとえ大動脈炎症候群が原因でも通常の手術適応に準じて積極的に外科治療を考慮すべきと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈炎症候群, 胸部下行大動脈瘤, 破裂
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