アブストラクト(45巻5号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 完全大血管転位症III型に対する新しいnon-conduit repairの臨床的研究
Subtitle :
Authors : 長田信洋
Authors(kana) :
Organization : 神奈川県立こども医療センター胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 5
Page : 670-678
Year/Month : 1997 / 5
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1991年以降, 完全大血管転位症III型の連続5症例に対し, 心外導管を用いない新しい心内修復術を行った. 手術及び遠隔期死亡なし. 術式は左室一大動脈間の心内トンネル作成, 肺動脈流出路閉鎖, 主肺動脈の授動及び右室流出路への直接吻合, 単弁付きパッチによる右室流出路再建からなる. 手術手技を詳しく図説するとともに, 術後早期及び中期遠隔期の心臓カテーテル検査を終えた3症例の経過をもとに本術式の臨床的研究を行った. 手術時年齢は5歳8カ月, 3歳7カ月, 2歳2カ月で, 中期遠隔期のカテーテル検査はそれぞれ術後1年8カ月, 3年0カ月, 2年1カ月時に施行した. 手術後の心機能回復はこれまでのRastelli手術群に比べると, 著明な改善が認められた. 術後早期の右室-肺動脈間の収縮期圧較差は4mmHg-20mmHg(平均10mmHg)で, 中期遠隔期には8mmHg-22mmHg(平均14mmHg)であった. 中期遠隔期の右室造影像では全例において右室流出路の成長が確認された. 本術式の特徴は, 主肺動脈を弁下まで剥離して切離し, その最大限の長さを確保することにあり, それにより主肺動脈を自然な経路で右室流出路に吻合することが可能となる. 本法は形態的及び血行動態的に最も望ましい形で右室流出路が再建されるため, これまで上行大動脈をいったん切離し, 肺動脈分岐部をその前方に移動していたLecompte法に代わる優れた術式と考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 完全大血管転位症III型, Non-conduit repair, Rastelli手術, Lecompte法, Arantius結節
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