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森山由紀則, 豊平均, 四元剛一, 金城玉洋, 松本仁久, 久富光一, 岩村弘志, 渡辺俊一, 下川新二, 平明 |
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最近5年間に経験した急性A型大動脈解離57例の治療成績をGRF糊導入前後で検討した. 対象は男性33, 女性24例で年齢は65±11歳であった. 術前合併症として心タンポナーデによるショック19例, 臓器虚血8例, 急性大動脈弁閉鎖不全による心不全を2例, 左胸腔内破裂2例を認めた. 手術は選択的脳灌流下にentryを含めた上行大動脈置換術を基本とした. 解離腔閉鎖には内外2枚のfelt strip(前期:37例)を用いたが, 1995年5月以降はGRF糊のみ(後期:20例)を使用した. 施行術式は前期では上行及び上行+弓部部分置換22例, 上行+弓部全置換12例, composite graftによる大動脈基部再建3例で, 後期では各々11例, 7例, 2例であった. 2群間(前期/後期)の手術, 体外循環, 大動脈遮断及び脳分離灌流時間は各々473±174/348±60, 265±122/164±39, 158±60/95±28, 131±72/56±41分と後期群で有意(p<0.05)に短縮した. また, 術後24時間以内の出血量は前期1,481±1,505mlに対し, 後期688±601mlと有意(p<0.05)に減少した. その結果, 入院死亡率は前期40.5%から, 後期15.0%と著明(p<0.05)に改善した. 死因は出血10(前/後:10/0)例, 脳障害4(前/後:3/1)例, 感染2(前/後:1/1)例及び心筋梗塞(前期), 術後医原性心破裂(後期)各1例であった. 急性A型大動脈解離の救命率はGRF糊の導入で著明に改善した. 更なる成績向上には発症直後の致命的合併症を防ぐためにも早期診断に基づく迅速な外科治療が肝要である. |
