アブストラクト(45巻5号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 低体温下循環停止後の脳再灌流障害に対する一酸化窒素合成酵素阻害剤の効果
Subtitle :
Authors : 瀬川大輔, 羽鳥信郎, 吉津博, 田中勧
Authors(kana) :
Organization : 防衛医科大学校第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 5
Page : 687-693
Year/Month : 1997 / 5
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 体重約30kgのブタ16頭を用いて, 低体温下循環停止・再灌流モデルを作り, 脳再灌流障害に対する一酸化窒素(NO)合成酵素阻害剤であるNG-ニトロ-L-アルギニン・メチルエステル塩酸塩(以下LNAME)の予防効果を検討した. 右外腸骨動脈送血, 上下大静脈脱血による体外循環下に, 脳温20℃で60分間の循環停止を行い, 引き続く120分間の再灌流を行った. 脳内NO値は電極法により, 硬膜を貫いて脳実質に挿入した白金コーティング針電極を用いて測定した. ブタを8頭ずつの2群に分け, L-NAME(1.5mg/kg)を再灌流時に投与し, 引き続き60分間持続投与(1.5mg/kg/hr)したものを治療群, 生理的食塩水のみを投与したものを対照群とした. 対照群では, 再灌流後有意にNOが上昇したのに対して, 治療群では有意な上昇は示さなかった. 再灌流後若干の血圧上昇が治療群でみられたものの, 脳血流量は両群間に差を認めなかった. Excess Lactate, 脳組織水分量等も両群問で有意な差は認めなかった. 皮質体性感覚誘発電位(皮質SEP)では, 再灌流120分後に, 治療群で全例回復をみたものの, 対照群では1例のみ回復したにすぎなかった(p<0.001). 以上の結果より体外循環を用いた低体温下循環停止におけるNO合成酵素阻害剤の再灌流障害に対する脳保護効果が示された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 一酸化窒素(NO), 低体温下循環停止, 脳保護, NO合成酵素阻害剤, L-NAME
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