アブストラクト(45巻5号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 他臓器浸潤を伴う胸部食道癌の治療法の選択-治療成績からみた切除, 補助療法の意義-
Subtitle :
Authors : 福元俊孝, 貴島文雄, 島田麻里緒, 草野力, 吉中平次, 馬場政道, 愛甲孝
Authors(kana) :
Organization : 鹿児島大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 5
Page : 732-741
Year/Month : 1997 / 5
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 他臓器浸潤ありと診断した胸部食道癌症例に対してどのような治療法を選択すべきか, これまでの治療成績から切除並びに補助療法の意義を中心に検討した. 対象は1980年1月から1994年12月までに, 教室で切除された胸部食道癌376例(非開胸食道抜去を除く)のうち他臓器浸潤(A3)であった64例と, 同時期にA3が原因で非切除となった35例とした. (1)A3臓器としては, 気管・気管支が30例と最も多く, 次いで大動脈17, 心嚢12, 肺静脈11例などであった. (2)22例(34.4%)に合併切除が施行され, 12例が癌遺残(-)となった. 切除臓器としては肺, 横隔膜, 心嚢などであった. (3)合併切除による癌遺残(-)例の1生率は25.7%, 50%生存期間は8.5カ月, (+)例は15.7%, 5.1カ月であった. 一方非切除群では3.1%, 4.5カ月であった. (4)切除群の術後補助療法としては照射群が最も遠隔成績良好であった. 非切除群では治療の種類による差を認めなかった. (5)合併切除により癌遺残(-)と期待される症例に対しては手術を優先し, 少しでも遺残する恐れのある例には照射+化療などを第一選択とし, 治癒切除が可能となれば手術を, 不可能と思われる症例には患者のQOLを考慮して食道内挿管などを施行すべきであろう.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : A3食道癌, 合併切除, 補助療法
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