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心房細動の維持には, 心房面積あるいは重量などの解剖学的因子とWavelengthなどの電気生理学的因子が大きく関与している. 右心房隔離術(right atrial isolation procedure, RAI)により心房を2分割し, 心房面積の心房細動維持に及ぼす影響を雑種成犬を用いて検討した. 対照群(n=10)と右心房隔離術を行ったRAI群(n=10)に分類し, 両群間で術前後の非隔離心房(左心房と心房中隔)で誘発した心房細動持続時間, 機能的不応期, 伝導速度及びWavelengthを比較し, 実験終了後心臓を摘出して隔離された心房(右心房自由壁)面積と重量, 非隔離心房面積と重量を測定した. 対照群では術前後で心房細動持続時間が9.2±2.5secから43.6±0.4secへと延長したが, RAI群の非隔離心房では11.4±2.7secから1.2±1.0secへと術後有意に短縮した(p<0.01). 非隔離心房に含まれるBachmann's bundleの術後Wavelengthは, 対照群が21.2±1.2cm, RAI群が20.2±1.0cmと両群間に有意差は認めなかった. 右心房隔離術により分割された心房面積は, 非隔離心房が46.3±3.5cm2, 隔離心房が15.6±1.2cm2であった. 対照群の心房面積は66.4±4.0cm2であり, 心房細動を誘発した非隔離心房の面積は, 対照群の心房面積より有意に小さかった. Wavelengthなどの電気生理学的因子が変化していないにもかかわらず非隔離心房で誘発された心房細動持続時間が短縮した原因として, 手術の心房分割による心房面積の減少, すなわちRAIに伴うarea reduction effectが考えられた. 心房細動の外科治療において, area reduction effectは心房細動の抑制を発現する重要な要素の1つであると考えられる. |
