アブストラクト(45巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部大動脈置換術における炎症性サイトカインの変動と臓器障害に対する術前ステロイド投与効果
Subtitle :
Authors : 新田能郎, 庄司好己, 標葉隆三郎*, 小田克彦, 伊藤智宏, 田林晄一
Authors(kana) :
Organization : 東北大学医学部胸部外科, *東北大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 6
Page : 825-830
Year/Month : 1997 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 手術中に産生された炎症性サイトカインが, 臓器障害に関与する可能性が報告されている. 胸部(又は胸腹部)大動脈置換術において, ステロイド術前投与が, 術直後の炎症性サイトカイン[interleukin(IL)-6, IL-8]の上昇を軽減するかどうか, また臓器障害の程度を軽減するかどうかをprospectiveに検討した. 1994年4月-12月に施行した待機的胸部(又は胸腹部)大動脈置換術11例中, 手術時間が長時間となった1例を除く10例を対象とし, 内6例は手術開始2時間前メチルプレドニゾロン500mg投与のsteroid群(S群)とし, 4例は非投与のcontrol群(C群)とした. C群及びS群の体外循環開始直前と術直後の血清IL-6は, 76.6±20.7pg/ml, 301±262pg/ml;27.7±24.7pg/ml, 50.7±14.1pg/mlで, 両者共S群で有意に低値であった(p<0.05). C群及びS群の術直後の血清IL-8は, 209±72.2pg/ml, 66.4±29.3pg/mlでS群で有意に低値であった(p<0.01). C群及びS群の血清アミラーゼは, 第1病日の値がS群で有意に低値であった(p<0.05). C群及びS群の血清C-reactive protein(CRP)は, 術後第2, 3病日の値が, S群で有意に低減であった(p<0.01). 以上より以下の結論が得られた. (1)胸部(又は胸腹部)大動脈置換術々後, 血清炎症性サイトカイン(IL-6, IL-8), アミラーゼ, CRP値の上昇を認める. (2)メチルプレドニゾロン500mgの手術開始2時間前投与は, これらの上昇を有意に軽減し, 炎症反応の軽減化, 膵, 唾液腺などの臓器障害発生予防に有用と考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸部大動脈瘤, 体外循環, サイトカイン, ステロイド, 術後臓器障害
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