Abstract : |
同種心臓移植の適応拡大と共に近年ドナー不足が深刻な問題になりつつある. 一時的又は恒久的両心補助法として, 異種心移植が期待されているが, 異種移植に対する免疫抑制法はいまだ確立されていない. 今回, われわれは異種心臓移植時の免疫反応を実験的に検討し, 特に, FK, DSG投与にて得られた免疫抑制効果と副作用について検討し, 至適投与量について考察した. Golden-Hamsterをdonor, Lewin ratをrecipientとし, Ono-Lindsey法に従い腹腔内異所性心移植を施行した. 対象は免疫抑制剤投与量(mg/kg/day)によりFK投与A群:0.75, B群:1.0, C群:1.25, DSG投与D群:10, E群:20, 2剤併用F群:FK O.5±DSG 5, G群:FK O.5+DSG 10(各群n=5)とし, Control群:無投与と比較検討した. グラフト生着日数はFK, DSG単独投与群ではControl群に比し, 有意にグラフト生着延長を示したが, 長期生存には至らなかった. 一方, 両者併用群ではControl群だけでなく単独投与群に対しても, 有意に生着延長効果を示し, F群では最長60日に及ぶ生着を認めた. グラフト心筋の組織学的所見ではControl群では白血球の組織浸潤, 組織内の瀰漫性出血, 組織融解を認めたが, 両者併用F群ではリンパ球浸潤などを認めなかった. 副作用の検討ではG群に約31%に及ぶ体重減少を認め, グラフト生着死を40%に認めた. Concordant rnodelにおける異種心臓移植において免疫抑制剤FKとDSGは併用療法により著明なグラフト生着延長効果を示した. |