アブストラクト(45巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 鈍的外力による気管・気管支損傷に対する急性期手術-自験7例の報告と本邦報告32例の検討-
Subtitle :
Authors : 田中博之, 遠藤幸男, 小林国男
Authors(kana) :
Organization : 帝京大学医学部救命救急センター
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 6
Page : 851-859
Year/Month : 1997 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 鈍的外力による気管・気管支損傷をその手術機会により緊急期・急性期・瘢痕期に分け, 搬入直後の時期に開胸手術(気管・気管支形成術又は肺・肺葉切除術を意味する)が完了した症例を急性期症例とした. 当施設で経験した気管・気管支損傷急性期症例は7例であり, その年齢, 性別, 受傷原因, 臨床症状・所見, 胸部X線写真所見, 気管支ファイバースコープ所見, 受傷から手術までの時間, 受傷部位, 受傷形態, 術式, 結果などについて検討した. 本邦の急性期症例は32例報告されているが自験例と同様の傾向を示した. 診断に寄与する所見として呼吸困難, 皮下・縦隔気腫, fallen lung sign(肺尖崩落), 高位肋骨骨折などが挙げられた. 本邦報告例の気管支ファイバースコープ施行率は75%, 診断率は83%であった. 従前より鈍的外力による気管・気管支損傷は80%以上が気管分岐部周辺に発生し気管支損傷の左右差はないとされてきたが, 自験例並びに本邦報告急性期症例の集計では受傷部位が気管分岐部付近の損傷は59%に過ぎず, また気管支損傷の部位も右に多く認め, 以前からの報告と相違した. 気管支損傷の手術では肺機能を可及的に温存すべきであり, 気管・気管支形成術を原則とすべきである. 自験及び本邦報告例のうち気管支形成の際にdebridementした症例の半数が狭窄を来したため, debridementによって狭窄が防げるとは考え難い. また, 治療成績向上のためには急性期症例の成績向上のみならず, 搬入後, 直ちに緊急室開胸を要するような症例に対しても, より早期の診断・即時開胸を可能とすることが重要と考えた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 気管・気管支損傷, 鈍的外傷, 気管気管支樹, 気管・気管支形成術
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