Abstract : |
1980年から1995年までに外科的修復が可能であった急性心筋梗塞に合併した左室自由壁破裂症例は20例である. 破裂様式別に分けると意識消失を伴うblow out型が14例, 意識消失を伴わず破裂時期が明確でないoozing型が6例である. blow out型のうち破裂発症後直ちに意識消失に陥ったsudden typeの例が10例, 破裂発症の後, 心肺蘇生と心嚢穿刺によりいったん意識の回復を認めたrapid typeの例が4例である. 生存例は20例の内7例(35%)であり, sudden typeはわずか1例の生存であったが, rapid typeは4例中3例(75%)が生存した. oozing例では3例(50%)が生存した. 死亡原因はsudden typeの死亡例9例の内5例が体外循環離脱不能による台上死, 1例がLOS, 3例が脳死であった. rapid typeの死亡例1例は止血に難渋した症例であった. oozing型の死亡例3例はLOS, 脳死, 肺炎で失った. 破裂部修復術に先行してタンポナーデ解除を行ったのはrapid blow out型の4例とoozing型の5例であり, 解除直後にrapid typeの2例とoozing型2例に再破裂が発生した. 1990年以降より行った止血材料を充填した心膜による梗塞部被覆術7例では体外循環離脱不能例はなく, 7例中4例(57%)が生存した. 一方, フェルトストリップを用いた梗塞部切除心筋縫合術13例では体外循環離脱不能例を5例(38%)に認め, 生存例は3例(23%)であった. blow out型の破裂例であっても, rapid typeのように心肺蘇生と心嚢穿刺により血圧の上昇と意識の回復がみられる症例では救命が可能である. 手術は心膜による梗塞部被覆術が有効である. |