Abstract : |
今回, 当院における急性心筋梗塞(AMI)に対する手術成績及び危険因子, 遠隔期成績について検討したので報告する. 対象は1991年1月から5年間に施行した単独冠状動脈バイパス術(CABG)施行AMI症例70例, 男性61例, 女性9例. 平均年齢61.9歳. 左冠状動脈主幹部(LMT)病変13例. 術前ショック18例. 大動脈遮断時間平均64分. 体外循環時間平均134分. グラフト数平均2.5本. 術前後peakCK平均4,479IU/L. 手術死亡は14例で死亡率は20%. 同時期に行われた待機的単独CABG(死亡率2.7%)と比較してAMIの手術成績は不良であった. それぞれの因子の死亡率は年齢70歳以上40%, LMT病変合併46,2%, 術前ショック52.9%. 術前C. I. 2.0未満58.3%. 術後C. I. 2.0未満80.0%. 術後補助循環施行28.2%. peak CK 5,000以上42.1%でそれぞれ危険因子となった. 大動脈遮断時間, 再灌流時間は危険因子でなかった. 遠隔死亡は5例で, 突然死1例(AMI疑)のみ心臓死. 手術死, 病院死を除いた生存率は1年98%, 5年83.9%であった. cardiac event(-)症例と比較して, (+)症例の生存率は有意に不良であった. LMT病変合併に代表される重症心筋虚血の手術成績は不良で, 術中心筋保護の改善や術後補助循環の積極的使用が今後必要であると思われた. 耐術症例の生存率は比較的良好であったが, cardiac eventが発生すると予後は不良で, より厳重なフォローアップが必要であると思われた. |