Authors : |
四元剛一, 豊平均, 森山由紀則, 渡辺俊一, 井畔能文, 増田宏, 久冨光一, 下川新二, 平明 |
Abstract : |
選択的脳灌流法を用いた胸部大動脈手術で, 近赤外分光法(NIRS)によりミトコンドリアの呼吸酵素であるチトクロームオキシダーゼ(Cyt. aa3)の酸化還元状態を監視して, 脳障害発生との関連を検討した. 1994年6月から1996年4月までに選択的脳灌流を用いた胸部大動脈手術35例中, NIRSでCyt. aa3の酸化還元状態を測定し得た27例(年齢65.8±6.5歳)を対象とし, I群:Cyt. aa3が還元されなかった群(12例), II群:還元されたが対照値に回復した群(13例), III群:還元され回復しなかった群(2例)の三群に分けた. 脳障害の発生は5例(18.5%)で, I群1例(8.3%), II群2例(15.4%), III群2例(100%)であった. 障害はそれぞれ失明, 片麻痺, 非覚醒で, III群での発生がI, II群に比して有意に高頻度であった. Cyt. aa3の還元は脳障害発生の予測に有用であるが, 測定範囲が狭いため, より多くの測定部位を設けるなど工夫が必要と考えられる. |