アブストラクト(45巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈基部高度解離症例でのGRFグルー使用経験
Subtitle :
Authors : 内田敬二, 近藤治郎*, 井元清隆*, 戸部道雄*, 坂本哲*, 杉山貢
Authors(kana) :
Organization : 横浜市立大学医学部救命救急センター, *横浜市立大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 7
Page : 1024-1027
Year/Month : 1997 / 7
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は73歳, 女性急性大動脈解離の診断で緊急手術を施行した. 手術所見で上行大動脈は著しく拡大, 解離は一部弁輪に達し, 左冠尖, 右冠尖間の交連部にあたる部位の外膜に破裂口を認めた. 大動脈基部の断端にフェルトを当て解離腔を閉鎖するためには冠状動脈口と大動脈弁輪との距離が十分でなく, 以前なら基部置換を余儀なくされた症例であった. しかしながらGRFグルーを用いることにより解離したバルサルバ洞壁の強度が増し, 冠状動脈口を避けバルサルバ洞, 一部弁輪を経由する縫合線で人工血管を吻合し, 上行大動脈置換のみで修復し得た. 急性大動脈解離でのGRFグルーの有用性については手術時間の短縮, 出血量の減少などが報告されてきた. これらに加え, バルサルバ洞の補強効果により大動脈基部で冠状動脈を温存しつつ自由に縫合線をとれるため, 侵襲の大きい基部置換術を回避し得るという点は, GRFグルーを用いた術式の優れた特性であると思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 急性大動脈解離, 大動脈基部置換, GRFグルー
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