アブストラクト(45巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部大動脈瘤外科の過去, 現在, 未来
Subtitle :
Authors : 井上正
Authors(kana) :
Organization : 慶応義塾大学
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 45
Number : 8
Page : 1067-1075
Year/Month : 1997 / 8
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1952年, 腹部大動脈瘤手術の成功は, まさに大動脈瘤外科の夜明けであった. 続いて, 手術は胸部大動脈瘤にも及び, 1950年代は胸部大動脈瘤外科の黎明期でもあった. 爾来45年, 大動脈瘤の外科は全大動脈に及び, 大動脈の全置換さえ行われるようになって来た. この間の45年の軌跡を辿るとき, まさに今昔の感に耐えない. 本稿ではこの45年間の歴史を振り返って進歩の跡を追い, 現状の分析から将来図を描き, もって明日の糧としたいと考える. 胸部大動脈瘤手術の初期の頃, 30%を超えた手術死亡率も, 1980年から1990年にかけて著しい改善が認められ, 1997年の今日では10%前後に低下したと思われる. 来るべき2000年には5%台となり, 21世紀には, 腹部大動脈瘤手術の危険率2-3%に追い付くのではないかと考える. 本稿では, 大動脈基部再建術の変遷から, 弓部大動脈瘤手術の進歩を振り返り, 更に胸腹部大動脈瘤手術から, 現在の大動脈瘤外科の最大の課題である脊髄保護の問題に言及し, 大動脈解離の手術の現在から将来を探り, 続いて現在の最も新しい流れ, すなわち, Minimally Invasive Cardiac Surgeryの大動脈瘤手術への応用の可能性を考え, 更にEndovascular Surgeryの現状から将来を考察した. 若い諸君が, これらの先人の業績を振り返り, これらを糧として, 将来を見詰めて一層の飛躍をされることを心から願うものである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸部大動脈瘤, 大動脈解離, 歴史, MICS, Endovascular Surg
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